「京都」山城八幡(やましろ やわた) 「たんでんあん 慶俊」

慶俊(けいしゅん) …しゅんさんのブログ

【酔幻世界】幸太郎の巻

昨日、虎次郎の店に行き、支那そばを食べた


虎次郎の放つ支那そばには恐れいったが

もうひとつ、この店では拙僧を驚愕さすことがあった







虎次郎の店に入ると

店員さんが近づいてくる、そして私に

「和尚さん、ご無沙汰しております」


な、なんだ?

店員さんの顔を見ると


「おお、幸太郎!幸太郎やんけ!」




なんと、店員さんは

虎次郎の第一の手下

【幸太郎】
こうたろう

であった





【幸太郎の巻】





虎次郎邸で虎次郎と酒を飲んでいると

虎次郎は私に

「これから部下が迎えに来てくれる」と、言った


しばらくすると


幸太郎が颯爽とクラウンに乗って現れ

虎次郎に

「参上しました!」

虎次郎「おう!よし今から出勤や!」


2人はスーツ姿でクラウンに乗り仕事へ行った



この様なかんじで、虎次郎といると

自然と幸太郎が私の目の前に現れるのである






【幸太郎の巻】



虎次郎は私に

「いっぺん、幸太郎の生い立ちきいてみたら」


私は幸太郎に話しをきいた





幸太郎、物心がついた時にはすでに身柄は
京都にある孤児院にあった


幸太郎は、からっと孤児院で育った事を話してくれた


壮絶な思い出である


何が一番辛かったがきいてみると

幸太郎は「それは布団のす巻きです」と答えた



小学生低学年の頃、上級生が面白がり幸太郎を布団でぐるぐる巻にして、階段から突き落としコロコロと転がす遊びが孤児院ではやった時があったそうだ



幸太郎は「孤児院には人権なんかありませんから」と、言う





他にも脱走した話しや

新聞にのったこと

警察に保護された時、交番で孤児院の先生にシバキまわされた話しなど

いろいろきいた





孤児院のことは私には興味深い話しである






本来であるならばお寺は

事情のある子を預かる所だ


身寄りのない子にお坊さんは

手習い、お経、様々な事を仕込み一人前にするのである

小僧の世界である


こういうのが高僧となり世に出るのである





幸太郎、ある時はパチンコ屋のホールに立ち

ある時は作業服姿でモノレールを担ぎ山中に入る

そして現在は支那そば屋にいる


夜な夜な虎次郎と酒を飲み、たまに愚僧である私が幸太郎の目の前に現れる






令和元年


幸太郎、34歳

虎次郎と愚僧は、39歳



まだまだ娑婆においての行雲流水は終わりそうもない










写真は後ろ姿の幸太郎
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