秋風といえるか
ほんの少し前、寺のオヤジが
「最近、字の練習はもうせえへんのか?」ときた
私は「字の練習はずっとやりますよ」とこたえた
オヤジは「せやけど、最近全然筆をもってないやろ」
私は「こんな暑い中、字の練習など出来るか」と、こたえようとしたが
問答がめんどくさいので、適当に返事をした
前に壇信徒さんに手習いの本をもらった
「千字文」
いい本だ
結局、手習いは「千字文」になるのか
学校をでていない明治の文豪幸田露伴は、小さい娘に
字の練習は「千字文」で覚えろと、娘に「千字文」を渡した
娘は「幸田文」と言い、文豪の娘らしく昭和時代に小説家として活躍した
娘は父にならい、父と同じように小説家として活字で生きた
才女であろう
しかし、娘は父の言いつけを守らなかった
娘は女になった時
愛する男のために恋文を書こうとするが
書けなかった
父の言いつけを守らず
せっかくの「千字文」を練習しなかったため
男を振り向かせる美文を推敲する事が出来ても
字がダメだから恋文が書けないのである
今ならパソコンのWordであろう
月末の日曜日のため、参詣される方は少なかった
御祈祷、一件のみ
手習いをしながら
小僧さんと竹ぼうきをもって庭掃除
そして、合間をみて
吉川英治の小説を楽しむ
お彼岸が終わると、座布団の衣替えをするのだが、まだしていない。